REGGAE DISCO ROCKERS
MELODIES
 
Interview by Jose Saito / Photo by Chikako Nakayama
 

ラヴァーズ・ロックを基調にしつつも、洗練された東京の空気を纏った稀代のバンド=Reggae Disco Rockersから2年ぶり5枚目のアルバム『Melodies』が届けられた。結成12年を迎え、なお新たなチャレンジをする彼等に話を聞いた。
 
 「毎年出すのと、1年空いて色々経験が溜まった中で出すのとでは全然違って。……メンバーも変わったから新しい感じになりましたよね。まあ、やってることは全然変わってないとは思うんですけど」(高宮/DJ・Programming)
 「(ホーンが1本になって)ぶっちゃけ、楽になりましたね。制約がないというか……」(西内/Sax・Flute)
 「前まではなんとなく決まりがありましたもんね。サックスとペットがセクションみたいな」(高宮)
 
 高宮のジャンルの枠を超えた膨大なリミックス・ワークやDJ、西内のTetsuniquesやSilver Sonicsをはじめとする他バンドでの活動、有坂(Vo)のソロ活動と、それぞれ多忙なスケジュールをこなしていたRDRが遂に重い腰を上げた。長年苦楽を共にした太田(Trumpet)の脱退、そして小林(Guitar)の加入という別れと出会いを経て新たな局面にさしかかった彼等の放つ本作は、タイトルやジャケットが指し示すとおり、どれもがヴィヴィットな色彩を放つ極上のメロディで。
 
 「結構、デモが凄いんですよね。ドラムとメロディしか入ってない。それにコードを付けていく作業から始めてくという」(小林)
 「でもなんとなく方向性があるんですよ。“この曲はスカで”とか、“あの曲はルーツで”とか…・・・後は好き勝手ですね(笑)」(高宮)
 「録って、良かったら採用みたいな。……でも、それが違う日に聴いて良くない時もあったりして(笑)」(小林)
 「そうしたらまたやり直したり出来るのは、フラワー(レーベル)のスタジオがあるからですよね」(高宮)
 そんな自由な空気の中、今回リード曲として作られた「Saturday Nite」は、Yoyo-CをフィーチャリングしたRDR史上最もアッパーなダンスホール・チューンだ。
 「去年の夏くらいにSOUL'd OUTのリミックスをやってたんですよ。その時に作ったトラックを下敷きにして1曲作ろうみたいな感じで。“これ、DJ入れた方がいいんじゃない?” “じゃ、今回はYoyo-Cに頼もう”みたいな。彼と『Rainbow』で一緒にやった曲がメロウだったんで、今回アッパーなヤツを頼んだらどうなるかっていうのはありましたよね」(高宮)
 
 ラヴァーズ・ロックとイコールで結ばれがちな彼等のイメージを刷新してしまうこの楽曲は、現在街の至る所で流れているので気になっていた人も多いかもしれない。
 
 その他、Icchieの独特な浮遊感あふれるトロンボーンをフィーチャーした軽快なスカ・ナンバー「Rockin' Time」や、有坂とのコンビネーションも絶妙なRudebwoy Face参加の「Sending You...」はRDR節炸裂なラヴァーズ・ロック、竹本健一(Phones)の湿度感ある甘い歌声が心に染み入るナイヤビンギ「Mother Earth」と、ゲストの多彩さだけでなく、その七色のアレンジはまさにカラフルなトイ・ボックス。
 加えておなじみのカヴァーでは、荒井由美の佳曲「天気雨」やミルトン・ナシメント「Bridges」、ラテン音楽の名曲「La Paloma」と、遊び心も十分。
 
 しかし、これだけ振り幅のある楽曲達をサラッと点から線に結んでみせる彼等。普段接している音楽はどんなものなのだろうか。
 「最新のレゲエを聴く方が多いですね。ダンスホールとか。現在進行形のジャマイカの音楽が好きです」(高宮)
 「僕はクラブでは聴きますけど、家ではあんま最新のは聴かないですね。家では古いナイヤビンギやらスカやらロックステディやらを」(西内)
 「俺は最近、シズラにハマってたかな。ダンスホールもやってるし、どっちもいってるアーティストはいけてるなって。アメリカのヒップホップとか最近のものも聴いたりしてますね」(小林)
 
 こと日本においては、スカならスカ、ダンスホールならダンスホールと、シーンに“就職”してしまう感があるが、このバンドはレゲエをひと繋ぎの音楽として楽しむ、生粋のレゲエ・バカ(良い意味で)なのだ。では、そんな彼等の紡ぐ音楽の“らしさ”を支えるものは何だろうか。
 「紀徹(高宮)さんの打ち込みはやっぱり独特な感じがありますよね。サンプルだったり、ドラム自体の音が紀徹さんっぽいのかな」(小林)
 「ドラムが生だったりすると、やる場所も限られてくるじゃないですか?クラブでサクっと出来たりするのはラバダブか打ち込みだからね」(高宮)
 
 夜の東京のシルエットをかたどった、洗練されていながら暖かなメロディ達。それが彼等の最大の魅力のようだ。
 「やっぱりトキオですかね?」(西内)
 「やっぱり池尻大橋でしょう(笑)」(小林)
 「もう三多摩地区の匂いはしなくなったしね」(大場/Riddim編集長)
一同:
 
 “遠い国の音楽”ではなく、リアルに彼等が生活する街に根ざした音楽。クラブ・ミュージック好きはもちろん、本物のレゲエ好きと自負する人にこそ味わってもらいたい作品である。
 
『Melodies』
Reggae Disco Rockers

[Flower / FLRC-051 / Album]


「Saterday Nite」
Reggae Disco Rockers feat. Yoyo-C

[Flower / FLRY-101 / Single]

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