CHILDREN OF JAH / SIZZLA
[PENITENTIARY / PENCD2044]
「米国ビッグ・マーケットで成功したジャマイカNo.1アーティストが、ルーツ・クラシックのマスター・ピースと共に帰ってきた」というライナー・ノーツ通り、ほとんど既発表曲の再録だが、リメイク“Heavenly”や“Solid As A Rock”trk使いの各曲や、シンプルな名曲「All Girls」(a.k.a「Beautiful World」)などミディアム調の曲中心でゆったり聴き通せる。地味ながら長く愛聴できる“裏ベスト”的内容。[輸入盤](遠井なつき)
 
REGGAE ANTHOLOGY MARCIA GRIFFITHS - MELODY LIFE / MARCIA GRIFFITHS
[VP / VPCD1715-2]
変化し続けるレゲエ・ミュージックと共に歩んだ40年(!)を振り返る2枚組。それは彼女曰く「マジック」の連続だった。スタジオ・ワン黎明期から、B・アンディとの黄金デュオ期、B・マーリーとの伝道期、べレス、ブジュらとのペントハウス全盛期…。レジェンドであり、なお現役。この音楽の、そしてマーシャの、懐のでっかさ、あったかさにどっぷり抱かれて下さい。「マスターピースは、永遠の輝き」 [輸入盤](遠井なつき)
 
KING SIZE DUB VOL.12 / V.A.
[ECHO BEACH / ECHO BEACH 60]
名前は知らないけれど、クラブで大スピーカーから大音量で流れていたら思わずDJブースを覗き込んでしまう。そんな可能性を秘めた楽曲が集まったコンピ盤。今回の選曲は非常に尖っている。ロックがベースに宿っている感覚を強く受けた。アリ・アップ、ザ・ラッツ、ザ・スラッカーズなど一本筋の通った人達にダブが絡むと爆発的エネルギーが生まれます。ダブに拘りを持つレーベルの姿勢は見事だ。[輸入盤](磯野カツオ)
 
プット・シングス・ライト/ジム・マープル・メモリアル
[スカ・イン・ザ・ワールド/SIWI-72]
日本でも着実に人気が高まっているフランスのスカ・バンドの新作。来日公演を熱望します。何故なら弾けたライヴ・ヴァージョンを今作で聴けてしまったからです(10曲収録)。やはりライヴによって真の実力が分るというもの、クールです(カッコいい)。スタジオ録音よりもやんちゃ、おてんば。ノリがいい。ジャズやブルースのフィーリングとスカがドッキング。ライヴCDはちょっとと思っている方にお薦めです。(磯野カツオ)
 
アイ・ランド・アイ/パパ・ユージ・ウィズ・ザヤナイ・プレイヤズ
[ザヤナイ/スパイス/ZH005C]
ソロ作『Inna Dancehall』からは一年も経ってないが、Zion Highの面々との作品となると、05年の『One Big Family』以来の新作。今回は沖縄でレコーディングをし、ジャマイカでミックスという日本とジャマイカの島を旅して生まれたグッド・ルーツ・ミュージック集。あらゆる生に対する優しい眼差しを気取らない言葉で紡ぎ、力強く唄う姿は凛々しくもあり頼もしくもある。当然演奏との息もぴったり。(大場俊明)
 
ホワイ/マッカ・ラフィン
[ファーストライズ / FRR-003]
ボブ・マーリーの命日にリリースされた在日ジャマイカン・シンガー、マッカ・ラフィンの6枚目となるアルバム。遠く離れた故郷を想い切々と唄うO・レディングの「Dock Of The Bay」の替歌で幕を開ける本作は、終始彼の人柄が出た真摯な歌声が鳴り響く。どの歌も泥臭いメッセージだが、だからこそ今の時代に必要とされているのだろう。ボートラの「Malcom X」では実兄Winston McAnuffとのデュエットが聴ける。(大場俊明)
 
ロッカーズ:グラデュエイション・イン・ザイオン 1978-1980/キダス・アイ
[ダブ・ストアー/DSRCD001]
サンズ・オブ・ニガスのメンバーで、映画『ロッカーズ』にも出演している伝説のシンガー、キダス・アイ。スタジオでのレコーディング・シーンでおもむろにタムを脱ぎ、長いドレッドをバサッと振り回す姿にシビれたルーツ・ファンは大勢いるだろう。僅か7曲のプレ・リリースしか無いこのシンガーの作品を1枚のアルバムとしてまとめあげたレーベルに拍手! ブラック・アーク録音「Too Fat」他、名曲多数!!(小池信一)
 
スウィート・トーキング/ザ・ヘプトーンズ
[ビート/ハートビート/BRHB328]
「イコール・ライツ」「プリティ・ルックス・イズント・オール」「スイート・トーキング」等々、スタジオ・ワンからの珠玉の名曲がギッシリ詰まったベスト盤。リリースされてから40年近くが経過した現在でも、全く色褪せず、常に新鮮な気持ちで聴く事が出来るのはプロダクションが完璧である証拠だろう。その美しいコーラス・ワークはレゲエ史においてもトップ・クラスであり、“ジャマイカの至宝”といえる。(小池信一)
 
ブラック&ホワイト・イン・ダブ/カール・パターソン&キング・タビー
[ビート/ホットポット/ BRHP1006]
『レゴ・ダブ』や『アースクエイク・ダブ』等、貴重なダブ音源の再発を続けるホット・ポットからの新作。70年代後半に、寡作ではあるが良質なシングルをリリースしていたレーベル、ブラック&ホワイトのダブ作品をまとめたもので、ミックスは全て王者キング・タビー。元ネタはディリンジャーの名曲「スタンブリング・ブロック」等で、タビーらしい重低音を増幅させたヘヴィなミックスを聴かせてくれる。(小池信一)
 
トライブ・コールド・ウェスト/V.A.
[ウェストライブ / WST-1]
関西のダブ・シーンは世界的にみても独特だと思う。ミュート・ビートを生んだ東京に比べれば動き出しは鈍かったとは言え、その伝播の仕方や表現の仕方が他所にはないものであり異彩を放っている。シーンの肝はやはりソウル・ファイア=Havとなるのだろうが、関西ダブ・シーンを俯瞰できるこのコンピを聴く限り、どのユニットも如何にオリジナリティを創造するかに命を掛けているような気がしてならないのだ。(大場俊明)
 
グランド・ギャラリー・プレゼンツ・ダンス・クラシックス・ラヴァーズ/V.A.
[グランドギャラリー/GRGA-0031]
ラヴァーズ・ロックの王道とも言えるソウル&ダンス・クラシックの、甘く切なく、そしてスムーズなカヴァー。そんなラヴァーズ・ファンにはたまらない新録音満載のコンピレーションがグランド・ギャラリーから届いた。Lukie Dが唄う「It's A Shame」(The Spinners)、Pam Hall が唄う「I Believe In Miracles」(Jackson Sisters)といった納得の組み合せから意外な組み合せまで実にいいバランス。(大場俊明)
 
LUIRE プレゼンツ・トロピカル・ビューティ〜ラヴァーズ&ルーツ・レゲエ/V.A.

[ファイヴマン・アーミー / POCE-15506]
老舗レーベルGreensleevesと独自のB-Girlスタイルを提案するファッション誌『LUIRE』が組んだコンピ盤。タイトル+雑誌のイメージ的にラヴァーズ&ゴリゴリの「ダンスホール」かと思いきや、「ルーツ・レゲエ」を持ってきたあたり、この誌のスタイリングのように新旧入り乱れたクセのあるハズし方。レゲエ入口として聴くもよし、昨今のダンスホールでは気持ちよくなれないなぁ、なんて人にもお薦め。(遠井なつき)
 
ビコーズ・オブ・ユー/Ne-Yo
[ユニバーサル/UICD-9028]
昨年のデビューの成功裡をふまえた2作目。ソングライターとしての裏方業を通じて培った音楽性を如何なく発揮したのが前作なら、目下ヘヴィロテ中のシングル曲「Because Of You」の成果は、マイケルやアッシャーから続くスーパー・エンタティナーとしての地位確立だろう。彼が得た自信と確信は本作にも反映され、得意の甘酸っぱい楽曲群は、堂々たる男前な佇まいも手伝って無敵の存在感を放っている。(石澤伸行)
 
エイント・ナッシン・ライク・ミー/ジョー
[BMG/BVCP-21522]
3年ぶりの6作目。彼によるメロウを絵に描いたような歌い口は、ブライアン・マイケル・コックス、ティム&ボブ、スターゲイト、クール&ドレら音職人たちの巧みを得て、新たなアングルからその魅力を照らし出されるかのようだし、ナズ、ファボラス、トニー・イエイヨー、ヤング・バックらMC陣によるフレッシュなマイク捌きも作品の流れに心地よいメリハリを与えている。どこを切ってもジョー印な復活作だ。(石澤伸行)
 
ストリート・ラヴ/ロイド
[トイズファクトリー/TFCK-87416]
ジャマイカ生まれブルックリン育ちのシンガーによるデビュー作。スウィズ・ビーツやクール&ドレらによる豪勢なサウンド・ワークやレイザー本人の熱い歌唱を含め、前のめりなイキオイが微笑ましい。特に、豊かなネタ感やキラキラとしたビートとウワものの絡みは、90年代初頭のヒップホップ・ソウル誕生時の興奮を思い起こさせ、今ではなかなか味わうことの出来なくなってしまった旨みには思わずニンマリだ。(石澤伸行)
 
ザ・ニュー・アール・イン・R&B/レイザー
[トイズファクトリー/TFCK-87416]
ジャマイカ生まれブルックリン育ちのシンガーによるデビュー作。スウィズ・ビーツやクール&ドレらによる豪勢なサウンド・ワークやレイザー本人の熱い歌唱を含め、前のめりなイキオイが微笑ましい。特に、豊かなネタ感やキラキラとしたビートとウワものの絡みは、90年代初頭のヒップホップ・ソウル誕生時の興奮を思い起こさせ、今ではなかなか味わうことの出来なくなってしまった旨みには思わずニンマリだ。(石澤伸行)
 
ザ・デイリー・ニュース/ドニー
[ヴィレッジ・アゲイン/VIA-0057]
5年ぶりの2作目。オーセンティックな生音使いのみならず、トンがったアプローチのトラック捌きも織り交ぜ、スティーヴィ直系のたおやか声で独自の世界観を作り上げる様は相変わらず。それどころか、何かを掴んだと思しき堂々たる佇まいのパフォーマンスや楽曲が目白押しなワケで、これは彼が次なるステップに歩みを進めたことの証左かと。名曲「Do You Know?」のリミックスも収録され、耳福度満点!(石澤伸行)
 
デイ・イントゥ・ナイト/ジーヴァ
[Pヴァイン/PCD-23908]
インディア・アリーのバンド活動も行うカーリ・シモンズ率いるアトランタ・ベースのバンドによる2作目。フュージョンやボッサ、そして近未来ファンクな要素等をミックスした音世界は、「人肌の温もり」と「先進性」がキレイに整理されて同居したもの。そしてそこにロンダ・トーマスらの歌声が乗る様は、最高にドレッシーだ。アレックス・ラティモアによる故ルーサー激似唱含め、聴きドコロ満載の豊穣盤なり。(石澤伸行)
 
ソニック・ウエポン/DJ C
[WIMM RECORDINGS / WIMM04]
腰にくるブリブリ音満載! ベースとビートを愛して止まないんだろうと想像させるヒップホップ〜ダンスホール〜ジャングルを渡り歩いたサウンドで踊らせてくれるグライムホール。時にはガッツリと、時にはズブズブと身体を横にも縦にも揺らそうとあの手この手で迫るリズムの多彩さは、この手の音が好きなら百科事典として楽しめる。ミニマル・ミュージックでは定評のPoleマスタリングでスッーと身体に入る音に。(飯島直樹)
 
ユー・ミー・アンド・エヴリワン/ペドロ
[EASEL / EASLI-0007]
樹木の葉脈が波打っているのが眼に見えたり、飼い猫の気持ちが手に取る様に解ったり、身の回りで静止していたものが急に活き活きと感じられるそんな瞬間を思い出した。ペドロの手にかかれば、音の一つひとつがその音本来のイメージとはかけ離れた表情を見せ始め、生き物の様に自由奔放に動き回り、雑然としていそうで会話になっているお喋りを聴いているかのよう。そんな予想の裏切りっぷりに中毒になりそう。(飯島直樹))
 
ボンヂ・ド・ホレ・ウィズ・レイザーズ/ボンヂ・ド・ホレ
[ホステス / HSE10045]
M.I.A.黒幕DIPLOが発掘した噂の彼ら、これまでのシングルの例に洩れず、単なるバイリ・ファンキに終わらない予感が濃厚なデビュー作。要素としては、メタル、ファンク、ラップ、エレクトロ……等々ブラジルの路上で拾えそうな欧米の落とし物なのに、逆輸入的にグイグイと欧米に浸透していく痛快な逞しさや、リオのそれよりも垢抜けている感覚は、ブラジルでも先進地帯とされる彼等の出身地が関係していそう。(飯島直樹)
 
スマーフ男組の個性と発展/スマーフ男組
[ラストラム / LACD-0109]
マジアレ太カヒRAW、コンピューマ、アキラ・ザ・マインドからなる3人組。結成から10年、各メンバーの名前と活躍は本誌読者の多くも知るところだろうが、何と本作が初のアルバム。ロボ声に身を隠したインテリ・ルーディ達が繰り出すエレクトロ・サウンドは、しかしながらとことんまで生々しく、そして日常を浮かび上がらせる。SPACE MCEE'Zとのジョイントで繰り広げられるライヴもぜひ体験して頂きたい。(飯島直樹)
 
ランブル・イン・ザ・ジャングル/V.A.
[ビート / BRSJ159]
本誌読者にはオールド・レゲエのコンピでお馴染みのSoul Jazzから、実に“らしい”選曲で聴かせる21世紀視点のジャングル集。黎明期に同名のコンピがあのFashionからもリリースされていたが、そういうラインの誰もがアガる名曲に加え、Ragga TwinsやShut Up And Danceなどの隠れキラーも嬉しい収録。「ジャングルって何?」という読者がもしいるなら、本作を必ず聴くように。解説も丁寧で素晴しい。(飯島直樹)
  
ボックス・オブ・ダブ/V.A.
[ビート / BRSJ161]
ジャマイカで生まれたダブという手法をルーツに、ジャングル〜ドラムンベース〜スピード・ガラージ〜グライムを経てトランスフォームした“フューチャー・ダブ”“ダブステップ”と呼ばれるサウンドのコンピ。先頃来日し話題となったスクリームやデジタル・ミスティックスら、このシーンの代表格のトラックを全エクスクルーシヴで収録。シンプルでありながらその隙間に無限の可能性が(聴く側にこそ)ある。(飯島直樹)

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