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292    ARTISTS    HOME GROWN

Home Grown
The Riddim Ambassador
 
Text by Takashi Futatsugi / Photo by Hiroshi Nirei
 

ジャパニーズ・レゲエ・シーンの興隆を語る時、Home Grownを抜きに語る事は絶対に出来ない。そんな彼らが作って来た獣道は、今や多くのアーティストが踏みならし立派な道となった。ひとつの通過点=ベスト盤をリリースする彼らの足跡をじっくりと追ってみよう。
  
前身のOasis Bandが結成された92年より、足掛け16年もの間、“自分達がプレイしたいモノ”と、“バック・バンドとして望まれるモノ”を供給し続けてきた文字通りの“シーンの屋台骨”Home Grown。今回リリースされる彼らの“初”となるベスト・アルバムは、2002年発の1stアルバム『Home Grown』から現在までにリリースされた4枚のアルバムのオリジナル・アルバムと、コンセプト・コンピ『Clone Of Grown』、外仕事集『High Grade Works』2集に、オリジナル・サウンド・トラック『鳶がクルリと』、の計8枚のアルバムに収録されていた楽曲を中心に、メンバー自身が選曲した全19曲からなるベスト・トラックスと、Captain-C 20XXの手による全35曲入りのミックスCDの2枚組、という豪華仕様、となる。ライヴだけでなく音源制作/レコーディング・セッションでもハードワーキンなHome Gだけにネタには困らずとも、逆に入れたい曲も多いハズで…。
 
「選曲に関しては、全体のバランスを考えましたね。結構自分の好きな曲と一般的に人気のある曲ではギャップがあったりするので、入れたかったけど入れられなかった曲は実は結構あったりしますね。だからアルバムのバランスと、アーティストのバランスを考えて…。それでもCDにインサート可能な時間ギリギリの19曲入りの大作となっています。ミックス盤の方は、同じリディムの曲の説明をした程度で、後は好きな様にやって貰いました。一応メジャー盤なんでリリック的に入れられない曲もあったりするからそれも伝えつつ。自分達の曲ばっかりのミックスCDなんて聞いたことないし、ジャパニーズ・レゲエだけのミックスCD自体まだ珍しいじゃないですか。となるとそれだけで“買い”でしょう。貴重なCDってわけですから。仕上がりも単純に楽しいし、テンポ感も良いし、Wicked!」(Tanco/以下の発言も含めて)
 
では、以下そのおめでたいベスト盤のリリースにちなんで、Home Gのこれまでの歩みについて、当時の思い出話を交えつつ、語ってもらったので、じっくり。
 
●Oasis Band〜Home G 結成〜ライヴ、レコーディング、バッキング仕事急増(1992〜2001)
 
「一心不乱にレゲエしてた……というか、出来るようになった時期。Oasis以外でショウをやってギャラ貰えるの? 毎日レゲエ出来るの?っていう。それだけで満足でしたね。あ、今もその点では変わりませんが……。
 
アーティスト達とも本当に手探り状態でいかにいいショウをやるか、いい演奏が出来るかという模索が始まった時期でもあります。お手本になる素材がないから最初からライバルと憧れはジャマイカのバンドだった。それが今思えば良かったのかな。ビッグ・フェスなんてめったにないのに、今より遙かにスタジオ・リハーサルは多かったですね。赤字イヴェントも多かったから、今より生活は苦しかったけど、誰も文句なんて言わずに楽しんでレゲエしてました。でも何のシステムもないところからムーヴメントの如く起こった現象に立ち会えた事に誇りを持っています」
 
●1stアルバム『Home Grown』制作から、2nd『Grown Up』発表辺りまで(2002年〜2004年)
「まず1stアルバムの話が来た時もマジ?俺たちが?みたいな気持ちで、作ってる最中もこれで本当に受け入れられるのだろうか? とかなり心配してました。でもこの頃は“どうやったらレゲエ人口が増えるのか?”、“どうすればもっと受け入れられるのだろうか?”と、“もっと、もっと”という気持ちが更に増した時期でもありますね。1stでやりたいことをある程度出したためなのか、2ndはより苦労しましたね。周りのアーティスト達も自分のアルバム制作で思う様にブッキング出来ないのもあって、一致団結してメンバー全員でジャマイカへ渡っての初レコーディングを敢行できたのが、Home Gにとって良い経験と思い出となっています。あと、03年だったか04年だったかは忘れましたが、過去5年位の夏の野外フェスが全くの雨知らずたっだのに、毎週毎週全てのフェスで雨が降った……なんて事があったけかな」
 
●3rd『Time Is Reggae』〜サントラ仕事〜4th『Respect To The Riddim』〜現在(2005〜2007)
「2ndアルバムのホロ苦い経験から、次の3rdアルバムは前々から準備を始めて、17曲からなる超大作になったかと、手前味噌ですが自負してます。間髪入れずにその直後に映画のサントラの話が来て、勿論サントラなんて初めてだったから、手探り状態で、ひたすら画面を見ながらの曲作り。しかも制作期間はいつものフル・アルバムの1/3〜1/4程度だったから1日3〜4曲ペースという過酷さで、寝る時間も無いくらいでしたが、思いっきり楽しんでやってたから全然苦にはならなかったですね。
 
でも、サントラを手掛けたお陰で、そのアルバムの中のインスト曲がやたらとCS、BS、地上波を問わず、TVプログラムでのBGMとして使われるようになったのは思っても無かった驚きでした。4thアルバムはまたまた難航しましたね。いつものアルバム制作の時は、ある程度俺がデモを作る方法と、メンバー全員でスタジオ入って“せーの!”でいきなり録り始めてから作っていくパターンがあるのですが、4thアルバムに関してはほぼ全曲が“役者”でしたね。この頃になると、メンバー各自のソロ・プロデュース仕事も増えてきたので、Home G名義作はメンバー全員で作りたい!という欲求が湧いていました。Oasis Bandの頃からやってた“Zimboo Zin”を録音できたのも、今思っても嬉しい限りです」
 

 
●Home Grownにとってのそれぞれの“一番”を教えて下さい。
A. 一番“苦労した”レコーディングは?
「どうしてだか絶対言えないけど、“Irie Music”」
B. 一番“思ったより早かった”レコーディングは?
Feat. Terry Linenの“Wisdom”。スタジオ・リハ、プリプロ無しの一回きり、一発録りの演奏だったから」
C. 一番“笑った”レコーディングは?
「“Sunset Skanking”。一発録りのよれよれテイクで、こんなのアリ?って。後、初めてのBoy-Kenとのセッション(“Under The Poinciana [G.Breeze Mix]”のこと)で、Kenちゃんが歌録りを始めた途端みんなポイポイ手がアガっちゃって。うまくいった思い出がありますね」
D. 一番“やってみたかった/やれてよかったカヴァー”は?
「“Natural Carly”。大好きな曲だったし、演奏、アレンジ、歌、どれ一つとっても良く出来たから」
E. 一番“印象的だったジャマイカ人とのジャム・セッション”は?
「僕個人だとするとSly DunbarとSteely & Clevieかな。Home Gで考えると、やっぱりDean Fraserとジャム・セッションじゃないけど、エンジニアのSteven Stanley、ですかね」
F. 一番やり甲斐のあったリミックスと、異ジャンルのアーティストとのコラボは?
「リミックスで言うと、だいぶ前にやったMoominの“楽しむために”、異ジャンルとのコラボだとLisaの“とんぼ”とかDaboとのセッションとか」
G. 一番“演っていて気持ちのいい”曲は?(2006年6月時点)
「それは曲自体というより、その時のシチュエーションによる影響が一番大きいかな。でもRyo“Seize The Day”とかPushimの“往来”とかはその中でも特にヤバい」
H. 一番長丁場だったステージは?
「2回目の『Highest Mountain』。当日、ステージ・リハ6時間、本番5時間の合計11時間ステージの上で演奏していたから」
I. 一番緊張したステージは?
「よ〜く考えてもどこだか思い当たらない…」
J. 一番大きな影響を与えたと思われるものは?
「沢山あるのですが、僕らが働いてた当時の海の家、Oasisに集まっていたミュージシャン達と当時のOasisの音楽環境。中でも特にAja Addyには影響されました。ジャンルもレゲエじゃなくて、国もアフリカはガーナのパーカッショニストなのですが、黒人音楽の基礎の基礎をびっちり叩き込まれましたね。
後はジャマイカのイケてるバンドは勿論のこと、いつも一緒にやってるDJやシンガーらアーティスト達からの影響が一番じゃないですかね。いつも刺激と喜びを与えてもらってます」
 
Home Grownの凄いトコロ。それは、その音に触れたヒトを“いい顔”にさせるトコロにある、と勝手に解釈している。
 
(中略)そんなハーデスト・ワーキング・バンドの彼らなのに、プログラム込みで発する音はとてもあったかい。聴く者を時に包み込み、時に奮い立たせる。決して突き放しはしないのだ。だからこそ、その音を浴びている間、我々は自然と“いい顔”(つまり、取り繕ったりしない、そのヒト本来の顔)になれるのだろう。勿論、その音をバックにマイクを取る“うたうたい達”の表情が最高にいい顔(=本気)なのは言うまでもない。何より彼ら=Home Grownの“いい顔”が見えるのだ。ポジティヴ・ヴァイブスとはこういうことなのだろう。(後略)……
 
これは彼らの1stのフライヤーに寄せた拙稿からの“引用”だが、その“印象”は5年後の今も良い意味で全く変わっていない、ということを最後に付け加えておく。
 









HOME GROWN ALBUM DISCOGRAPHY

 1st Album「Home Grown」 [Pony Canyon / PCCA-01702] 2002年


 2nd Album「Grown Up」[Pony Canyon / PCCA-01914] 2003年


 3rd Album「Time is Reggae」 [Pony Canyon / PCCA-02055] 2004年


 4th Album「Respect to the Riddim」 [Pony Canyon / PCCA-02270] 2006年


 Project Album「High Grade Works」 [Pony Canyon / PCCA-01934] 2003年


 Project Album「Extra High Grade Works」[Pony Canyon / PCCA-2297] 2006年

 1st Maxi Single「Beach Walk」 feat.Takafin from Mighty Jam Rock
[Pony Canyon / PCCA-02160] 2005年


 Sound Track「鳶がクルリと」[Pony Canyon / PCCA-02184] 2005年


 Reggae compilation Album「Clone Of Grown」[Overheat / OVE-0094] 2005年


「Give Thanks」Home Grown feat. Pushim, Moomin, Ryo the Skywalker,
Turner, U-Dou & Platy
[NMNL / TOWER-1009] 2006年


「The Best」Home Grown [Pony Canyon / PCCA-02463] 2007年


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