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THE MAZE

Papa U-Gee
I LAND I
　
Interview by Nobuhiko Mabuchi (Biorange) / Photo by Buntaro Kato
　

日本のアイランド＝沖縄で、Zion High Playazとのセッションで作り上げたPapa U-Geeのニュー・アルバム『I Land I』が完成。ミックスはジャマイカで行い、極上のルーツ＆カルチャーに仕上がった。島と島を繋ぐヴァイブスが真空パックされた全13曲。ダヴ・ヴァージョンも必聴です。
　
●本作のテーマは？　
Papa U-Gee（以下P）：沖縄でレコーディングしながらテーマを考えていったんだけど、今回は“ルーツ・ロック・レゲエ”。自分がレゲエ・ミュージックと出会って衝撃を受けた頃のサウンドをやりたくて。ボブ（・マーレー）はもちろん、U-ロイとかスライ＆ロビーとか、当時はバンド・サウンド全盛の頃でさ。
　
●オープニングの「Good Vibes」は、まさにそんな思いが込められた楽曲ですよね？
P：そうですね。俺にとってレゲエは、生きることのバイブルだから。それを歌ったんですよ。最近のジャマイカのルーツ＆カルチャー系の曲も、こんな感じが多いし。タイムリーな曲だと思います。
　
●「Movement」ではコーラスにパム・ホールをフィーチャーしてますね。
P：ジャマイカへミックスに行って、そこでパムにお願いしようって決めたんです。一応キーワードとして「Movement」って言葉がありますが、「後はあなたのスタイルでお願いします」って言ったら、一発でキメてくれましたね。サスガですよ。
　
●セッションのように作り上げたと？
P：ライヴでもそうだけど、常にセッションでいたいと思ってて。決めるところは決めるけど、アドリブも重要だよね。ジャマイカへ行ったときのヴァイブスを大切にしたいから、スタジオだって予約しないし。
　
●今回はどこのスタジオで？
P：デニス・ブラウンとかグレゴリー・アイザックスとかが使ってる“レゴ・スタジオ”っていうのが（キングストンの）ダウンタウンにあって。アナログにこだわってるスタジオで、毎回行ってるんですけどね。で、今回初めてスタジオのオーナーに褒められたんですよ。映画『ロッカーズ』にも出ているラスタマンなんだけど、「お前ら、俺たちに近付いてきたな」って。嬉しかったですね。
　
●「Kamaboko-Yane」は、地元讃歌「焼津港」の続編的な楽曲ですね。
P：地元の旧港が取り壊されることになってね。カマボコみたいな珍しい屋根が並んでて、皆、愛着があるんだけどさ。壊してほしくないんですよ。でも、行政は完全に無視だよね。じゃあ俺には何が出来るかって考えたときに、港のことが語り継がれるような歌を作ることだと思って。俺が生まれ育った街のことを歌ってるんだけど、こういったことはどこの街でも起こってるでしょ？　そう簡単に昔からあるモノ、それによってできた人の繋がりを崩して欲しくないって、俺からのメッセージですね。
　
●「NaNaNa...」はどんなコンセプトで作ったんですか？
P：皆で歌える曲が作りたくて。皆で同じ歌が唄えることが、一番の平和だと思うんですよ。今の日本は、本当に戦争するのかよって危ない状況だからね。まとまることが必要ですよ。
　
●確かに「ナナナ〜」は誰でも口ずさむことが出来ますよね。
P：言葉自体に意味はないけど、聴く人によっていろいろな解釈が出来るでしょ？　そこも大事。歌詞カードを見てもらえればわかると思うんだけど、あまり漢字は使わないんですよ。漢字を使うと、音じゃなくて暗号みたいに意味が限定されちゃう気がして。言葉ひとつにしても、聴く人に解釈して欲しいし。押し付けがましい音楽って、嫌いなんですよ。
　
●Dee Jayとして、どんなパフォーマンスを理想としてますか？
P：どんなオケでも歌えて、何でも出来るパフォーマー。ジャズでもロックでも余裕でマイク握りたいし（笑）。もちろんルーツ＆カルチャーってスタンスは変えないけど、そのうえで自分のメッセージを届けていきたいね。
　
『I LAND I』
Papa U-Gee
[Zion High / Spice / ZH005C]