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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
ALBUM
 
1. Fabolous / From Nothin’ To Somethin' (Def Jam)
デザート・ストームの看板ラッパー=ファボラスのデフ・ジャム移籍第一弾。前作からの1st カット「Breathe」が、それまでの彼のイメージを覆すほどハードな単独曲だった事はそのキャリア上、有効だったが、今作ではまたコラボ上手なフォボラスにある意味戻っている? 何せイントロに次ぐ「Yep, I'm Back」以外の全曲がfeat.物で、その顔触れもNe-Yo、リアーナ、エイコン、ジェイ・Z、ヤング・ジージー、T・ペイン、ジュニア・リードまで豪華そのもの。プロデューサー陣も同じく強力で、レーベルがこの若大将をいかに買っているかがよく判る。
  
2. Pharoahe Monch / Desire (Universal Motown)
“還ってきた!”といえば元オーガナイズド・コンフュージョンのこの男。ロウカスが一度クローズした時点で行き場を無くしたアンダーグラウンド・キングが、元ラウドのボス=スティーヴ・リフキンドのSRCからソロ第2作をドロップ。先行カット「Lets Go / Push」ではまだ見え辛かった本作の全貌は、ゴスペルを下敷きにした壮大なイントロから徐々に露になる。友人モス・デフに負けず劣らずのシアトリカルな性格と独自のリリカル・センスもリー・ストーンやアルケミスト、Mr.+ポーター、ブラック・ミルクらのディープでストイックなトラックの上で爆発している。PEのあの曲のリメイックも有!
 
3. Guru / Guru's Jazzmatazz Vol 4 (BMG)
ギャング・スターが活動休止状態にある中、新たな相棒ソラーとのレーベル“7グランド”の運営も活発そのもののグールーが、約7年振りとなる『ジャズマタズ』の新作(Vol.4)を発表。今回はボブ・ジェームス、デヴィッド・サボーン、ロニー・ロウズといったフュージョン界の大物も駆けつけ、“歌い手客人”もコモンからダミアン・マーリー、オマー、キャロン・ウェイラーら、どことなく“グールーらしい”セッション目白押し。等の主役も得意のマイク物は勿論のこと、随所でコンシャスなテーマを扱っており、ヴェテランならではの説得力のある一枚に。
 
4. Theory Hazit / Extra Credit (River City)
ライトヘディットのブレイク率いる“ヒップポップ・イズ・ミュージック”の隠し玉ことセオリー・ハジットの新作。オハイオ州はシンシナティを拠点にする彼は、コモンとカニエ・ウエストの中間と評される事もある味わい深いラップと、サンプリングをバックボーンとするサウンド・プロダクションで知られているが、ブレイクを始めとする仲間達(The Are、トニー・ストーン他)がほぼ総出状態で協力した本作には確かに“決意表明”的な力が漲っていて、「アングラ=ジャジー」等という穿った見方は出来ない。オーセンティックかつヘッドノッディングな快作。
 
5. Shin-Ski Of Martiangang / Shattered Soul On A Pastel Sky (Miclife Recordings)
インサイトらとのシンサイト・トリオやインスト・ヒップホップの金字塔『Blue Chronicle』、そして数々の“技アリ”リミックス・ワークでも知られる、尼崎が産んだヒップホップ・マエストロ=Shin-Skiの初リーダー作。参加アーティストはタイム・マシーン、ファンキーDL、オセロ、プロカッションズ、アパノ、ルイス・ロジックら、好事家達が泣いて喜ぶ隙のない“スウィング感”が全編に漂う文句ナシの力作、となっている。インスト曲も勿論、秀逸だが、“ラップ曲”こそが彼のクリエイティヴェティを刺激。
 
6. Tha Blue Herb / Life Story (Tha Blue Herb Recordings)
曰く「三度目の正直の音楽」。Tha Blue Herbとしては実に5年ぶりの3rdは、Ill-Bosstinoという不世出のMCと、そのパートナーである御楽人=O.N.O、そして第三のメンバーとなったDJ Dyeが“いまやるべきこと”を自分の気持ちに忠実にやり切った、という清々しいまでに前向きなものとなっている。ポジティヴと云っても、巷に蔓延する軽薄なそれなどではなく、“濁”を知るものこそが謳うことが出来る“それ”だ。リスナー1人1人に語りかける様にラップするBossのリリシズム、様々な情景が浮かび上がるビートに生命力のあるカット、その全てが意味深く、圧倒的にヒップホップである。
 
7. Gagle / 3 Peat (Columbia)
仙台発“類を見ない正三角形”ことGagleの3rdフル・アルバムが到着。Gagleのトラック担当といえばソロとしても活躍中のDJ Mitsu The Beatsその人であり、彼の豊かな知識とセンス、絶妙なサジ加減の効いたトラック群はここでも光っているのだが、今回は同じJazzy SportよりGrooveman SpotとLA在住のBudamucky、そしてアルバム『Cycling』も記憶に新しいSuper Smoky Soulも参戦し、新たな“色”を加えることに成功。Hugerのあのオリジナルとしか言いようのないラップもより幅が出てきた印象で、間違いなく彼らの“代表作”と呼べる傑作に。
 
8. DS455 / Risin' To Tha Sun (Universal)
極東ウエストコースト・スタイルを提唱し続ける、シーンの真のヴェテラン・コンビ=DS455の4作目となるオリジナル・フル・アルバム。大型R&B新人、青山テルマをフィーチュアした先行シングル「Summer Paradise」でも窺えた通り、今回は2nd以来の“夏盤”となり、気持ちのいいクルージング・チュ−ンから、激アツのダーティー・サウス系まで、“職人”PMXの見事なサウンド・アプローチと、Kayzabroドクトクの粋なフロウとグッとくるリリック、そして無尽蔵のコネクションはいいバランスで発揮されている。LBC代表フォーサムとの2度目のセッションも話題を呼ぶこと必至。
 
9. bay4k from Scars / I am... (P-Vine)
続々と強烈なソロ作を連発中のScarsからBay 4 Kの初アルバムが…。キャラクターの濃い、しかしながらストレートな物言いと歌心を武器とするこのストーリーテラーは、Jashwon、L-Vokal、D.O、Pit-Gob、般若、Mr.Omeri、Ryuzo、4WD、そしてScarsの仲間ら、ゲスト陣との絡みでもその魅力を100%発揮。Scarsのアルバムではまだハッキリとは提示されていなかった一個人の独白も胸に染みるタイトル通りの作品。I-DeA、Bach Logic、Doc-Dee、Nao the Laizaらのビートもいちいち強力だ。
 
10. Grand Beatz (DJ Ryow & Tomokiyo) / Project Dreams pt.3 Since 2002... (MS Record)
Endless File〜Ballersのメンバー=DJ Ryowとハードコア・バンド=Diero Los DiablosのTomo-kiyoのプロデューサー・ユニットによる新曲2曲を含むベスト・ワーク集。名古屋=052発のシグネチャー・サウンドの一つとして、彼らの編み出す時にロッキンで常にヘッドバンギンな世界標準のビーツがズラリと並ぶと壮観そのもの、である、またグランド・ビーツ名義の注目のブランニュー・シットはHi-D、Sygnal、Anarchy、そしてAkira、Ak-69それぞれの編成によるモノ。これがまたヤバいんだ!
 
11. Rumi / Hell Me Why?? (Popgroup)
ヴィヴィッドな言語感覚とリズム・アプローチに更に磨きのかかったRumiの3年振り2nd。Tha Blue HerbのO.N.O.プロデュースでFeat.にMSCのO2というEP「極楽都市」('05)でも確かにそのブットビ具合は確認出来たが、このアルバムはその更に“先”を行くスリリングな内容。歯に衣着せぬ…と云うよりもその言い方そのものが詩的であり、所謂フィメール・ラッパーというパブリック・イメージを嫌い、円が気的な資質を滲ませる彼女特有の世界観はここに見事に確立されている。Goth-Trad、SKEらの発する土着でフューチャーなトラック群との相性も申し分なく、頭1つ2つ突き抜けた印象。
   
12. Cream Cungbell / Perfect Illegal (Cunpreme Recordz)
ベトナム難民で、神戸育ち、現在もその街を拠点に学校やTVなど多方面で丁々発止のラップを披露している“ナチュラルボーンMC”の1stアルバム。「Rapをするだけ」のトラックを担当したShing02が同曲のアカペラを聴いた際に「久しぶりに日本語で凄いヒップホップを感じた」と語っているが、確かにここには忘れかけていた“原始的な何か”がある。DJ A-1や本人によるトラックにしろ、拡声器だけで叫んでいる様なラフなラップにしろ、至る所に“生と死”を意識せざるを得ない切迫した“声”が感じられる。「地球上に生きるすべての人々の素敵な出会いと平和」というテーマもじっくりと接すれば見えてくる。

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