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Ice-Koh, Bes, Yujin
Mic Blast from West
 
Interview by Kazuhiko "Hico" Maeda / Photo by Shigetoshi Yoshida
 
どんなものも健全な状態を長く保とうとすれば、新陳代謝が必要だ。そのためにも現在、シーンのフロントラインを突っ走り続ける彼らの次に控える新たなる世代の台頭は、願ってもないことだ。さて、次なる牽引者はいったい誰なんだ?
 
ここ2年ほどの間に、若手アーティストを取り巻く状況はかなり様変わりした。まず突破口を開いたのは、Ken-Uを始めとする、Ent Deal Leagueの面々であっただろう。「Doko」の爆発的なヒットに端を発した彼らの勢いは、それまで大阪、神奈川の2強時代ともいえた状況の中に、東京発のシーンというものの存在を意識させたと同時に、日本各地で活動する若手アーティストの気持ちを十分に奮い立たせたであろう。また関西においても、昨年の「みどり」の特大ヒットによって一気にスターダムにのし上がったChehonを始め、以前から注目を集めていた、DinosaurやArm Storong、55Levelなどが今年に入り一気に単独作品をリリースするなど、ますます若手アーティストの台頭が目覚ましくなっている。
 

"Respect Parents"
Ice-Koh

[Empire / EPCD-001]


  
さてそんな中、上記の「Doko」や「みどり」と同じように、大ヒットへのエリート・コースともいえるケタ違いのダブ・ヒットを経て、本当に待ちに待たれていた作品のリリースがあった。大阪のDJ、Ice Kohが盟友Barrier Freeによるレーベル、Empire Recordsよりリリースした『Respect Parents』である。4年ほど前、Barrier Freeのミックス・テープに収録されたのをきっかけに、恐ろしい数のダブ・ヒット(本人の弁によれば録音数300回以上!?)を起こしていた表題曲に、今までに様々なレーベルより発表してきた人気曲「Try Again」「Sunday Life」などを加えたミニ・アルバムは、前評判通りの大ヒットを遂げ、長きにわたり西の若手筆頭と目されてきたIce Kohの存在感を確かなものとして見せつけた。本人は、2年前のジャマイカ長期滞在以前に書いた曲を集めた今回のミニ・アルバムについて「この頃はまだ、自分自分を表現しきれてへん。なんか水で薄めた水彩画みたいなもんやねん」と言っていたが、描写力に優れたリリックや、彼独特の溢れるほどの感情を潜ました歌声は、十分にリスナーの琴線にぶち当ててくれる。こうなると、今、リリースに向けて準備段階に入っているという、彼曰くの「油絵」も大いに楽しみである。
 

"Music Is My Road"
Bes

[Kaeru Studio / KSCD-8023]


 
さて、同じく大阪シーンより登場し、大ヒットを飛ばしたニュー・カマーがいる。2年ほど前より大阪ハーコー・レゲエ・シーンの要、カエルスタジオ周辺でリリースを重ね、歌心あふれるフロウで注目を集めていたシング・ジェイ、Besである。今年の夏に発売されたフル・アルバム『Music Is My Road』が周囲の期待をさらに上回る反応を得、今もなお快進撃を続けている。収録曲には表題曲以外にも「Sun Shine Day」や「お前らがいるから」などメロディアスかつ好感度の高い良曲ぞろいだ。ところで、どうやらその好調なセールスの原動力の一因を担っているのが、ヒゲヅラの奥に覗くさわやかな笑顔。しかも魅力的なハスキー・ヴォイスがまた、女子に言わせると“モテ声”と表現する類のものらしく、ライヴとなれば当然のように黄色い声が飛ぶ。楽曲そのものよりも、ともすればヴィジュアル面などに対しての話題が先行してしまうことに対して、当人としてはどう受けとってるのか?と少し意地の悪い質問を投げかけると「音楽に興味持ってもらえるなら、入口は何でもいいと思うし、素直にありがとう!ってかんじっすよ!」と、ああ、大人なご意見。「ところで、前までよくスピーカー運びやってたけど、今はもう…?」との筆者の質問にも「今でも週一ぐらいのペースでやってますよ。地方行ったりしても、めっちゃ疲れてても自分から手伝ってしまうんですよね。なんかこれもレゲエの楽しみかなって思って」と即答。あ、なるほど。もしかすると、最大の魅力は歌声でもヴィジュアルでもなく、この屈託のないメンタリティなのかも知れないな、と思わされた。
 

"京の都の遊び人"
遊人

[Sakura Music Works / SMW-001]


  
最後に、上記のアーティストに比べれば知名度こそ劣るが、少し毛色の変わった、面白いアーティストがいるので紹介したい。京都を中心に活動する遊人というDJ だ。今年の夏に『京の都の遊び人』というミニ・アルバムを発表している。ジャパレゲ創世記から活躍する名プロデューサーB.P.の末弟であり、B.P.が手掛けてきた多くのアーティストと同じく、己のパーソナリティをアーティスト性として昇華していくタイプだ。表題曲などはDJらしい自己アピールに満ち、言葉でグイグイ引き込んでいく様が秀逸。今はまだ、DJとしては未熟な部分も多数目につく。だが、スキル云々の部分は努力次第でなんともなるものでもある。この男が今後どういった成長を見せてくれるのか。どんな話を聞かせてくれるのか。楽しみでならない。
 
さて、今回取り上げたアーティストの他にも、東京の風やTomo、大阪のMison-BやNatural Weapon、鎌倉の導楽などを始め、今後のジャパレゲ・シーンの中核になれる可能性を秘めたアーティストはまだまだ各地に沢山いる。さらにアーティストだけでなく、若手によるレーベル活動もここへ来て一気に盛んになっている。関東では前途のEnt Deal League擁するサウンド・クルーRacy BulletによるRhythm Of Da Seasonsやミックス作品が大人気のHunter Chanceによるあばれ馬、関西では人気トラック・メーカーのDaddy DragonによるDragon Farmや、今年発表したコンピ『種無良品』が各地で高評価を受けている京都のClutch Shooterなど、志に溢れた、これらのレーベルの動きには特に注目していきたい。

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