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Riddim Award 2008 - Hip Hop -
Muro meets Takashi Futatsugi
 
Photo by Akira Maeda
 

 

『Riddim』=レゲエ情報満載のフリー・ペーパー?…確かにそうかもしれない。しかし、それがレゲエ・オンリーだとうたわれた例はない。それが証拠に、これまでに幾多のヒップホップ・アーティストが表紙を飾っているし(今月号のMURO対談参照)、現在も「Got The Flava」と色分けされているページに、毎号インタヴューや特集記事が組まれていた時期もあった。現在のようにクラブ、現場がはっきりとジャンル分けされるよりも前、つまりは80年代から続いている本誌は主に「ストリートの尖った音楽を支持する、情報に飢えたマイノリティー」に向けて〈発信〉されていたわけで…。 
 
それが近年、過熱気味のジャパーニーズ・レゲエ・シーンをフォローするために、より〈そっち側〉にシフトしていたことは、それこそ96年に「日本の年にしたい!」と宣言し、真っ先に取り組んできただけに誰も責められることじゃないだろう。そして記念すべき25周年であり、三〇〇号へのカウントダウンが始まった08年。『Riddim』は改めて宣言する。「今こそ(レゲエだけじゃなく)ヒップホップもヤリたい!」と。その理由は、セールスの低下や、専門誌の廃刊、といった状況に応じただけではない。レゲエのファンがヒップホップも当たり前に聴いていた、またその逆も然りだった良き時代を忘れてはならない、という戒めにも似たものなのだろう。時代は変わる。メディアのあり方も例外ではなく。しかし、『Riddim』の〈立脚点〉は変わらない。だからこその、もっとヒップホップを!、なのだ。(二木 崇)

 

 
二木崇(以下二木):DJの立場から見たクラブ・シーンって、ここ数年間で変わりました?
MURO:何が変わったかと言えば、やはりスクラッチ・ライヴ(DJ用ソフト)の普及、ですね。もう、都内だと8〜9割がそうですから。
二木:そうですよね。今だとそこから入る子が普通だったりするし。時代は変わりましたよね。PCの導入自体は、ヒップホップ自体では比較的遅かった方ですが。
MURO:そうなんですよ。ハウスのDJとか前から上手く取り入れてたし。
二木:去年、ジャイルス・ピーターソンとMUROさんの対談の進行をやらせて貰った時も、よくよく考えたらその話題が半分くらいだった(笑)。ジャイルスが一回りくらい年上のフランソワ・Kに「お前、まだアナログなの?」って言われた、って話もありましたね。
MURO:あった、あった(笑)。ジャジー・ジェフがPC使ってて「ヒップホップでも既に常識なのか、と思った」とか言ってましたよね。個人的には、キッド・カプリとロード・フィネスが取り入れたのを知った時点で、認めざるを得ないテクノロジーなんだな、と感じましたよ。
二木:その点、I Am Legend、いやKing Of Digginは今のスタイルを変えない、と?
MURO:基本はそうですね。やっぱりヴァイナルの音が一番好きなんで。ただ、音源を出してる立場からすると、いち早く新しい曲をかけたいじゃないですか。
二木:リミックス物もそうですが、配信オンリーのものもあるし、そういう部分で〈早くなった〉のは時代性ですよね。
MURO:そうなんですよ。だから一部CDJを使う時もあるし。色んな意味で、気持ち的には分からなくもないんですよ。
 
二木:よく海外で箱ごと盗まれた、って話も聞きますよね。イーヴィルDとか。
MURO:ラージ・プロフェッサーも確か言ってましたね。だから落としておくと。
二木:45キングも前に焼いてきたCDでプレイしたりしてましたよね…。そういったヴェテランが色んな理由で移行するパターンもありますよね。僕は別にそこは否定的ではなくて。
MURO:うんうん、二木さんの言いたいことは分かりますよ。DJやってると、やっぱり「あのレコードもってきたらよかった…」とか思うことはあるし…。
二木:あと、千代の富士じゃないですけど、「体力の限界!」ってありますもんね。
MURO:(笑)…まぁ箱の数が多いタイプのDJほど、そうですからね。だから海外の時は7インチ・セットが殆どですね。お客さんにも喜ばれますし。
二木:今年は、アムステルダムとロンドンでプレイされたんですよね?
MURO:ホント、向こうにも頑固な、アツい奴が多いんですよね(笑)。ロッテルダムとか凄いレコ屋があったりして。
二木:去年一年で世界中のレコ屋が何千軒も潰れた、って報道もありましたが。
MURO:不思議とそれは感じなかったんですよね。UKではデトロイトから来てたセオ・パリッシュらとプレイしたんですけど、彼もかなりの塩ビ盤ジャンキーだったし…。
二木:そう言えば、彼って昔のアー写はバスルームにレコードぶちまけたヤツでしたよね(笑)。…(中略)…CISCOのクローズとか、かなりショッキングでしたね。
MURO:それこそ昔は上野の店に通ってましたし。残念としか言いようないですね。高熱出しちゃって閉店のパーティに駆けつけられなかったのが悔しくて。
二木:プロモ・アナログの供給もめっきり減りましたもんね。新譜中心だとやはりセラート全盛の今は厳しいんですかね。
MURO:新譜の賞味期限が早いというか、使い捨てのものが多いのも事実だし。
二木:逆にというか、いい中古盤屋さんが見直されてる、ような気がしますね。
MURO:そうなんですよ。西新宿のえとせとらレコードのセール品とかヤバくて。
 
二木:新譜と言えば、今年出たアルバムだと何がデカかったと思いますか?
MURO:今だと、ジェイ-Zですかね。サンプリング含め、やっぱやってくれますね〜。『The Black Album』みたいにアカペラ盤も出たし。これはクリエイターにとって最高のギフトだと思うんですよ。
二木:あと、この暮れのリリースで言えばウータンやゴーストフェイスも。
MURO:外さないですね〜。RZAはもう予言者だと信じてるんで(笑)、「絶対今のタイミングだ!」と計算してたんでしょうね。宇宙人バンバータも「07年は変革の時だ!」って予言してましたし。
二木:ゴーストで思い出したんですけど、その彼や、モブディープのプロディジーとは昨年『Tokyo Tribe 2』のサウンド・トラック盤でも共演されてましたよね? プロディジーの今年出たソロにはMUROさん作のビートもあったわけで…。
MURO:キャラの濃い、予想通りの間違いない男たちでしたね。トラックメイカーで言えば、ジャスト・ブレイズやアルケミストと一緒にやれたのが意義深くて。ネタ聞かせると面白いくらいに目の色が変わると言うか。そこはピュアですね。
二木:あとヴェテランでは、なんと言ってもKRSワンとマーリー・マールの奇跡の合体アルバムが話題になりましたね。
MURO:昔を知ってる人はアツくなりますよね。あ、そうだ、NYG'Z が良かったな〜。プレミアが踏ん張ってるのが何より嬉しかったですよ。励みになった。
 
二木:さっきのテクノロジーの話じゃないですけど、新しいものを使いこなせてる人間が多くて全体的な音のクオリティも上がってるのに、逆に一聴して「これは誰々の音」とはっきりわかるくらい個性的な存在は少なくなった気がしますね。求められてるものが既に違ってきてるし。
MURO:そこはやはり寂しくもあり。どげんかせんといかん、じゃないですけど(笑)。細分化されるのはいい事なんですけど、それが同一化されるのは面白くない。ただ新しい価値観を頭ごなしに否定するのはヒップホップ的じゃないと思うので、それを楽しんでいきたいですね。
二木:ちなみにMUROさんにとって『Riddim』はどんなメディアですか?
MURO:ずっと読んでますからね。それこそ、クラッシュ・ポッセをやってた頃から。ウチの店「SAVAGE!」でもすぐになくなりますしね。こんな読み物的にも充実してるフリーペーパーってないし。
二木:ヒップホップで言えば、ATCQからスケートマスター・テイト、KRSワン、フージーズ、DJシャドウ、コモン、RZA、ワイクリフ、ブッダ、ライムスター、TWIGY、雷、ラッパ我リヤ、餓鬼レンジャー…も表紙になってますもんね。あ、MUROさんも2回なってますよね。
MURO:嬉しかったですよ。行動範囲で必ず目にするものじゃないですか。
二木:レコ屋、服屋、クラブ…確かにそうですよね。来年遂に25周年&三〇〇号ですよ。
MURO:こういう世の中だからこそ続いて欲しいですね。実際、読者層も幅広いと思うんですよ。大人も若い子も得るものがある雑誌だと思うので。やっぱり忘れてはならないもの、カルチャーがあるわけで、それを伝えていく立場としても心強い存在ですね。こうしてヒップホップのページがきっちりあるのもありがたいし。これからもシーンと直結し続けて貰いたいですよ。

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