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SKA IN JAPAN, NOW
Cool Wise Men, Stinking Blue Beat, EKD, Ska☆Rockets
 
Text by Jose Saito
 

Cool Wise Men
 
“SKA”という音楽の下に団結していた日本のスカ・シーンも現在、シーンの拡大と共に拡散したかの様にも映る。だが、それはシーンが次なるステップに向かうための過渡期ならではの現象だろう。実際、オリジネイター達は勿論、中堅バンド達も元気だし、若いバンドも次々と誕生している。そしてファンも相変らず熱狂的だ。それではEddie "Tan Tan" Thorntonとの共演作『East Meets West』をリリースした中堅どころの代表バンドCool Wise Menのインタビューに加え、個性豊かな3バンド(ユニット)も紹介していこう。
 
 「それまではこねくり回したい時期だったんですけど、Tan Tanと演ってると余計なことはやらなくていいなと思うし、シンプルにプレイすることが一番カッコイイんだなって思いましたね」(篠田/ベース)
 
 世界の名だたるアーティスト達と星の数ほどのセッションを経験し、最近ではThe TrojansやSka Cubanoの一員としても活躍するEddie“Tan Tan”Thorntonと今年の1月にオーストラリアのフェス・ツアーに参戦したCool Wise Men(以下CWM)が、なんと現地で新録のスタジオ盤まで制作。しかも制作日数はわずか2日間、スタジオの手配から何まで完全ゲリラ・レコーディングだったそうで・・・。
 「アンプはナシ、ドラムはブイ(電子)ドラム、マイクは1本だけ…。それでも(エンジニアの)内田(直之)くん(Little Tempo/Dry & Heavy)が色々やってくれて最終的にはOKで」(光風/トランペット)
 
 「そういう状況だからラインでリズムからホーンまで完全一発で録るしかなくて、(プロトゥールスなど)最先端の技術を使ってもの凄くアナログなことをしたっていう(笑)。でも、Tan Tanが『2テイクで決めろ!』っていう人なんで、録りは1曲2回あればいい方」(篠田)
 また、楽曲の制作過程も完全に現在進行形の生仕様。
 「朝、Tan Tanがトランペットでメロディを吹いてるのをicchieさんが譜面に拾って、それをみんなでコードをつけて。だからリハもしてないですし(笑)」(篠田)
 
 「ほぼ全曲Tan Tanの鼻歌から」(光風)
 現在のCWMは、サポートにicchieとBaku(Bamboo Swing)を迎えた体制をとっており、これも新たな刺激になったようだ。
 
 「以前は“なんとなくでいいか”みたいなところがあったんだけど、特にicchieさんはものすごくプロ意識が高い人だから、理論的なところを逆に俺らは吸収する機会だなと思ってるし」(篠田)
 
 「知らないことを少し知るだけで、今までやってきたことがハッキリ見えてきたというか」(光風)
 
 「俺等はそっち(感覚的ではなく理論的な方向)にいっちゃうと絶対面白くないバンドだってわかってるので、敢えて避けてたんですけど…」(篠田)
 
 「icchieさんは、(理論的なことを学んでも)絶対そういうバンドにはならないから大丈夫って(笑)」(光風)
 では最後に、このアルバムのプロモーション・ツアーに同行しているTan Tanにも本作の話をしてもらって締めとしよう。
 
 「Ska Cubanoのツアーに出てるっていうのに、いつもCWMのことを考えていたんだよ。彼等はジャマイカ人が持っているようなフィーリングで演奏しているから、一緒に演ってて本当に楽しいんだ。実際、このCDを世界中持ち歩いてみんなに聴かせているんだけど、『これを日本人が演ってるなんて信じられない』ってみんな口を揃えて言うんだよ。僕は自信があるよ。彼らが一発、大きなテレビにでも出れば一気に世界中で売れるだろうね」(Tan Tan)


Stinking Blue Beat, EKD, Ska☆Rockets
 
 「フェスにSKAバンドが普通に出れるくらいSKAという音楽が認知されて、シーンが落ちついちゃうのは当たり前だと思うから。…でも、“2-ToneじゃないSKAがあるんだよ”っていうのがかなりの人に伝わったと思うんでこれからだと思いますよ」とは篠田(CWM)の先のインタビューでの発言。その言葉どおり、一見すると大黒柱的存在がいない現在のシーンだけど、各地にはまだまだ面白いアーティスト達が…。今回は現在、新しい動きをみせているバンド(ユニット)を3つだけ紹介していこう。
 
 まず初めに紹介するのはEKD。自身も参画する未来世紀メキシコや、Caribbean Dandy周辺のイヴェントでメキメキと頭角を現している彼。「SKAはレコードを買い始めた頃から親しみのある音楽です。裏打ちだったりハーモニーだったり魅力はたくさんあると思います。ジャマイカの音楽が持つ反骨精神には強く影響されました」とSKAの魅力について答えてくれた彼の音像は、ジャマイカ、メキシコ、キューバ、スペインなどのエッセンスをパンクな精神と都会的な色合いで見事に描き出していて新鮮。Very Be Carefulの来日サポートや、The Ska Flames主催イヴェント「Down Beat Ruler」から生まれたコンピ盤にもPachucabrasとの競演楽曲が収録されるなど活発に活動しており、今や東京アンダーグラウンドで注目の存在に。
 
 次に紹介するのはStinking Blue Beat(以下、S.B.B.)。沖縄発のSKAバンド=Majesticsの中心人物、真喜屋実のソロ・プロジェクトで、現在は7インチを中心にリリース。「例えれば、Majesticsはドキュメンタリーで、S.B.B.はフィクションって感じかな」と本人が語るように、Majesticsのユルユルなヴァイヴスに“夢の中”のようなフワフワした感覚が加わった面白いサウンドは一度聴いたら脳内無限ループすること間違いなし。そんなS.B.B.の最新作はMongol 800の代表曲「Party」に本人をフィーチャーしたカヴァーで、原曲がSKAやレゲエであるかどうかではなく、メロディの持つ芯の強さを大切にした空間構築力の光る作品に仕上がっている。沖縄のシーンの良さについて「情報を探さなければないことかな」とも語ってくれましたが、情報が少ない分、フラットに様々な音楽に触れられることで面白い化学反応が起きているのかもしれない。
 
 更に、「Sun Set Live」には欠かせない存在となっている福岡のSka☆Rocketsも4年ぶりに新作を発表。「僕らの中でSKAは大衆の音楽だっていうのがあって、より多くの人に楽しんでもらうには歌モノの方がわかりやすいと思って」とリーダーのイマムラが言うように、インストのイメージが強い彼等が積極的に歌モノにチャレンジした意欲作で、ジャンルの垣根を越えて聴く者の胸に響く良盤に仕上がっている。
 
 今回紹介した3バンド(ユニット)に共通するのは、より広義でSKAを解釈し価値観を共有できる層を増やすことで、従来のように求心力のあるバンドを主軸としたギュッと縦に詰まったシーンとは別軸の、新しい波を生みだそうとしている点。これからの各地での盛り上がりが楽しみです。


"East Meets West"
Cool Wise Men feat.Tantan
[Galactic / GLCD-0024]
Album
 

"Para Todos Todo"
EKD
[FZMX / EKDCD001]
Album 
 

"Party c/w Tin Tin"
Stinking Blue Beat
[Swing Dragon / SD-0007]
7inch Single
 

"Japaica"
Ska☆Rockets
[IFF / UK Project / (IFFUK-007]
Mini Album

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