イギリスのニュー・ルーツ・ユニットとしては異色のトランペットとトロンボーン奏者2名によるラヴ・グローサー。好評の初来日公演後、クリス・ペッター(トロンボーン)、デイヴ・フルウッド(トランペット)、そしてサウンドの要であるベン・ミドルトンにインタビュー。


 本誌読者にもパーソナル・スタジオ作りを目指す人や興味のある方も多いと思うが、Aruzスタジオは24CHのアナログミキサー、HDレコーダーやチューブコンプ、EQ、エフェクターといったアウトボードに、ヴォーカル・ブース、そしてPC+MIDIフィジカルコントローラーと充分に環境の整ったいいスタジオだ。モニターはレコーディングスタジオ定番のヤマハNS10Mで大音量OK。全く羨ましい限りである。

おっ!グレード・アップしてる。
Zura(以下Z):そうなんです、今回はミックスダウンまでここでやりました。Pro Tools LEを導入したんですけど、PCの扱い自体に慣れてなかったのもあって、なかなか大変でしたけど。

Aruzスタジオはいつから?
Z:今の場所からという意味では、98年にスタートしました。ChinnenとPeter Manと始めて、最初は身内だけでダブ録りをやってたんですが、徐々に広がっていって…。

今回の作品の歌録りは全てここで?
Z:殆どそうです。シンガーのJunチャンだけは他のスタジオで録りましたけど。

シンガーの録りは難しい?
Z:歯擦音(「サ」行の音)が気になって、やっぱりいいクオリティで録りたかったので。DJの場合はダブ録りで慣れているのでバッチリでした。

 リズム・トラックの殆どはZura自身が制作しているが、Kenty Gross「Dancehall Jocky」は、Boogieman「無心」(Casino 891)のリズムを作った注目のリズム・メイカー、West Riverが手掛け、Majiman「Break」とPeter「太陽系」ではMo' MusicのFlabbaによる「Fire Burning」のリメイク・トラックが使用されている。

トラックは何を使って作ったの?
Z:これ(最新のMPC)でほとんど。一人で作るというよりも、やっぱり皆で進めていく感じで。イロコマネチ「ミンナタイヘン」とかもそうですけど、歌やリリックに合せてシンセのフレーズを入れたり。

NG Head「Pum x 3」もバッチリやね。ヴォーカルの重ね方とかもNG Head独特のスタイルがあって。
Z:個人的には「New Type」と「太陽系」のPeter Manがイチオシです。彼はイイっすよ。あとProf. Chinnenともずっと一緒にやってるし。ChinnenはEqualizerさんのGreen Greenでダブっぽいサウンドでもやってたりしてて、ダンスホール以外のジャンルからも注目されてる。

オリジナルのリズム・トラックは新しいスタイルだけど、ベースラインの太さとリヴァーブが結構効いてる所に80'sっぽさも感じました。
Z:ベースはProteus 2000が多いかな? ベースだけじゃなくてオルガンの低音とかも使っています。80'sサウンドは好きですね、ヤバい。

左右に振った音も多いね。
Z:MIDIコントローラーでのパンの書き込みがよく判らなくて、オートパンとかも結局人力でグリグリやりました(笑)。

今後のリリースは?
Z:これのアナログ盤と、『Zubby Zubby Mix Vol.3』という7インチによるミックスCD、あとイエロー・チョイスのToshiya君と作ったミックスCD『Aruz Stuido Presents Yellow Choice.com』を出します。これはToshiya君がやってる若手DJによるラバダブ・イヴェントをスタジオ・ライヴ化したものです。Peter ManとChinnenのアルバムも作る予定なので、そん時はまた協力してくださいね。

モチロン! で、これからは?
Z:生の楽器を使っての録音にトライしたいですね。姿勢としては、流行とかだけじゃなくて、色々な意味でですけど、周りに流されずに自分の好きな音楽をどれだけ信念を持って作り続けるか、ですね。



"Higher Than The Sun"
[Pioneer LDC/ PICL-1266]