2001年暮れにリリースされた『Oasis』から早二年、レゲエ職人集団、レゲエ・ディスコ・ロッカーズが待望のセカンド・アルバム『Reggae Magic』をリリース。多彩なゲストを迎えつつも、自分たちのカラーを出し切った佳作だ。そんな彼らの新作の魅力とは?

 シークエンス・トラックと生音の融合による新しい感覚のロック・ステディを築いてきた、Reggae Disco Rockers(以下、RDR)。80年代後期からDJとして活動してきた高宮紀徹、川上つよしと彼のムードメイカーズやトライアル・プロダクションなど多くのレゲエのセッションでいぶし銀の存在感をみせているサックス/フルート奏者=西内徹、須永辰緒などの作品参加で知られるトランペット奏者の太田靖雄の3人で現在活動する彼ら。前作『Oasis』以降もツアーや他ジャンルのアーティストからのリミックスも積極的にこなしてきたRDRが、セカンド・アルバム『Reggae Magic』を完成させた。前作から約2年というインターバルも、これまでの彼らの活動を振り返れば、意外とスピーディに思えてしまうのだが(笑)。

 「やればできるもんだ(笑)。最初はやっぱ手探りだったけど、リミックスも沢山こなしてある程度わかってきたっていうのもあるし」(高宮)

 「ライヴを多くやったのも影響してるだろうしね。今回の制作途中でライヴのシステムを変えたのも、意外と転機だったかも。紀徹さんがステージ上で(ダブで)飛ばしてみたり。それでまたインストの曲がもっと充実してきた」(太田)

 そんな活動がしっかりと反映された本作では、多彩なヴォーカリスト/ミュージシャンがショウケース的に次々登場する。なんといってもまず驚かされたのは、クレイジーケンバンドのヴォーカリスト、横山剣の参加。

 「ホントに頼めるの?ってのがまずあって(笑)。永徹さん(高宮紀徹の兄で、レーベルのオーナー)が剣さんの曲のリミックスしてたりして、交流はあったんですよね。そしたら快く引き受けてくれるってことだったんで」

 「じゃぁ、もう『おお!キャロライナ』しかないだろうって(笑)」(高宮)

 「レコーディングの時も、もうロックなノリで(笑)。いいもの聴かせてもらいましたね」(西内)

 そして日本のレゲエ・シーンを古くから追ってきた人たちにはたまらない、松竹谷清、ピアニカ前田、エマーソン北村の揃い踏み。 

 「ウチでレーベル立ち上げた直後の、最初のカタログのほうで清さんのシングルを出してたんですけど、変わらずいい歌ですね」(高宮)

 「こないだ札幌に行ったんだけど、バイーア(松竹谷清のバー)でかけてくれてて。本人も気に入ってるみたい。“まいったよ、歌わされちゃってさ”って言いつつ(笑)。でも、清さんも前田さんもRDRでもいつかはぜひご一緒にって思ってたから(セッションは)ほんと感動しましたね」(西内)

 その他にも、RDRとツアーをまわったEico、ボサノヴァ・シーンで活躍中のAsa(Asa Festnoon)、Jazztronikなどで活躍中のArvin Homa Aya、須永辰緒やSu-Paka-Poohの参加で知られるMika Arisaka、そして名古屋在住14歳(!)の本格派シンガー=Miliyahと5人の女性ヴォーカルが各々個性ゆたかな歌声を聴かせている。もちろん、ヴォーカル曲と双璧をなすインスト曲のアクの強さも聴き逃せない。

 それにしてもレゲエ畑のアーティストが多数参加した今作だが、その表現の幅が広がれば広がるほど、彼らの核にある“レゲエ”がさらにくっきりとした輪郭をもって浮かんでくるのは面白い。

 「そこは変わらないですよね。根っこががっしりあるからこそ遊べるっていうところもあるし。もしそれが揺らいでるものだったら、いろんな人が参加したら、いろんな方向に傾いちゃうし」(高宮)

 「つうか、全部レゲエをやってるつもりでいるので。レゲエ以外の何モノでもないと思います(笑)」(西内)




"Reggae Magic"
[Flower / FLRC-021]


Guest Artists are...
Asa
Arvin Homa Aya
Eico
Emerson Kitamura
Kiyoshi Matutakeya
Ken Yokoyama
Mika Arisaka
Miliyah
Pianica Maeda