とにかくマイペース。したいことだけを出来る時間をかけてのんびり熟成させてきたやっほー!バンドが長い時間をかけて親交を深めてきたアーティストと共に作ったアルバム『Vision』が完成した。早速リーダーの望月丹生に話を聞いた。

結成して14年で、2004年の『あんたらちょっと』からまだ2枚目ですが、バンドカラー前面に押し出すのではなく、メインヴォーカルで望月さんがいるのに、あえてメインをゲストに委ねた理由は?
望月(以下M):活動自体が長いので、2枚出したからといって、今言われた事に対して「あーそうなんだ」ぐらいで。「カラーを押し出さなきゃいけないんだ?」って。例えばルーツ・ラディックスにしろソウル・シンジゲートにしろジャマイカのレゲエ・バンドって、スタジオにその人達がいて、そこにグレゴリー(・アイザックス)が入って…ってのがあるじゃないですか。だからうちみたいな長い間やってるバンドがやってみたらどうだろう?と軽く考えていました。

それは自分が歌わなくても平気だったんですか?
M:はい、全然OKです。でも演奏はしてます。ギター弾いたり、コーラスしたり…あっ、鳴りものね(笑)。

日本のレゲエ界の方がこぞって参加してますが、例えばTuff Sessionの内田コーヘイやヤギー、Reggae Disco Rockersの西内徹(と有坂美香)はTetsuniquesで、こだま和文はレーベルメイトとして繋がりがありますが、他のメンツは?
M:ビル君(Spinna B-ill)とは下北沢のBasement Barとかで対バンとかするうちに自然に仲良くなってました。(DubsensemaniaのRas)Takashi君とは、PJの(義理の)お父さん(Jah KSK)が蔵王でやってるイベントに2〜3回呼んでもらって、それが必ずダブセンと一緒だったんです。そこから、PJが主催している「レゲエ・クリスマス」にも、いつも呼んでもらって、そこに必ずダブセンとセットでサヨコさんがいて…。しかも、うちのパーカッションの奈良ちゃんがサヨコさんとOTOさんとでサヨコオトナラをやっているというのもあって、女性歌手で一番最初に声をかけたのがサヨコさんなんです。犬式の三宅(洋平)君は彼がやっほー!を気に入ってくれていて、イベントに呼んでくれたりするうちに仲良くなりましたね。Hakase-Sunは以前イベントで一緒になって、僕が「今日1人なんだ」って言ったら「俺、吹こっか?」とか言って、うんですよ。メロディカ出してきて打ち合わせもなく「大丈夫だから」って言ってずっと吹いてくれたり、バンドにも何故か色々優しくしてもらってます。Bagdad(Cafe The trench town)のMaiちゃんはイベント繋がりで。大阪の打上げで「こんなの作ってるけど参加しない?」ってメンバーが言ったら「するする」みたいな…。

最後の2曲は、これまた大御所ですね。
M:工藤(Big 'H' 晴康)さんはうちのバンドを見て、一番最初に「お前ら面白い」って言ってくれた人なんですよね。新宿二丁目にあった69でライヴやった後、「お前ら、レゲエを斜めに見ている。斜めに見ているのがいい」って。で、今回収録した曲は、ボブ・マーリーのイベントで工藤さんが歌うのを聴いて「工藤さん、それヤバいよ。うちのバンドで絶対にやりたい」って、今回お願いしたんです。でも歌詞がヤバくて2番以降ダブになっちゃいました…。そしてラストに参加しているKuuboさんは僕の師匠なんです。昔Kuuboさんがジャマイカから帰国した時、御苑スタジオでやるって言うんで、そん時俺が、ドラム叩いたんですよね。そしたら、ベースの音でスタジオの天井から粉が落ちてきてた……こりゃすげーって(笑)。で、この人には付いていこうと思って、しばらく周りをウロウロしてたんですよ。

歌詞も曲も望月さんが提供したのが基本だけど共作もありますね。
M:ビル君には、俺のコーラス部分だけを入れて、中歌を全部ぶちぬいたやつを渡しました。三宅君は完全にお任せですね。サヨコさんは一番はそのままで2番を全く変えてきて、Maiちゃんも2番の真ん中辺りをコンパクトにしてくれて。どれもその人のイメージがあるんだなって、そのまま受け入れました。不満は全然なかったです。むしろ素晴しいって。

既にこのアルバムの録音時に次のアルバムも作ってしまったと聞いたのですが…。
M:(笑)……時間が余ったもんで。実は今回のと合わせて26曲録ったんです。

双子作品と言えるんじゃないですか?
M:でもカラーは違うんじゃないかな、女性いないし。インストも無いし。やっぱり泥臭いかな。全曲、自分が歌ってるしね(笑)。


「Vision」
やっほー!バンド Meets Friends
[Geneon / Delphonic / GNCL-1038]