MIX CD
1. DJ Tanko / Tour De Groove 2 (Office Broccoli)

関西ヒップホップのゴッドファーザー/06バンバータンとDJ Tankoのミックス・テープ第2弾。(メガ)ミックスにヒップホップの感覚を常に漂わせることが出来る本物のDJだけに、この「どっちかっちゅうと曲をちゃんと聴かせる感じ」のライヴ・ミックスもそこはかなくその感覚が…。しかし、同じ選曲で攻めてくるDJなんてまずいないでしょ。因みにオープニング・シャウトはあのラゼールです。

ALBUMS
2. Juvenile / Reality Check (Warner)

元キャッシュ・マネーの人気者ジュヴィナイルの通算8作目となる新作は“アトランティック”移籍第1弾。ここ数年の彼といえば、メロウな「Slow Motion」や UPTを率えての「Nolia Clap」のヒットがあった訳だが、今作ではその成果も踏まえて完全に一人立ちした“新しいジュヴィナイル像”を作り出すことに成功している。プロデューサーは、最近“キャッシュ・マネー”を脱けたマニー・フレッシュの他、スコット・ストーチ、ハッピー・ペレス、ミスター・コリパーク他、ゲスト陣もこれまでになく豪華で、彼の代表作になりそうな予感。
3. Young Bloodz / Ev'rybody Know Me (BMG)

「Damn!」のビッグ・ヒットで一躍売れっ子となったアトランタの2MCの3rdアルバム。“ソー・ソー・デフ”より“ラフェイス”に戻っての今作もクランク+掛け合いラップ等の基本線は変わりなく、とは言えアトランタのトレンドはしっかり反映させた好内容となっている。制作はリル・ジョン、ミスター・コリパーク、ジャジー・ファー、サンチェス・ホームズ、マニー・フレッシュ、スコット・ストーチ等で、リミックスではエイコンも参加。ジャケは2枚目風だが、ハメ外してる曲もしっかりあるのでご安心を。ゲストではダズ、Tボズ、ヤング・バック、リル・スクラッピーも参加。
4. Tha Alkaholiks / Firewalter (Victor)

所謂ギャングスタ系ではないウエスト・コースト・スタイルのパーティー・ラップを築き上げてきたレジェンズ=アルカホリックス(リックス改め?)のラスト・アルバム(5作目)。スヌープのアルバム等でも腕を振るっているE・スウィフトを始め、ソロ作も出したタッシュ、J・ローのコンビネーションが楽しめるのもこれが最期かと思うと…。とは言え、アルバムそのものにはそんなムードはなく、至っていつも通りの快調さ。制作陣には“ワックス・プロイテーション”繋がりでデンジャー・マウスの姿も。改めて“いいグループだった”と痛感。いや痛飲。
5. J Dilla aka Jay Dee / Donuts (Lexington)

先日惜しくも病死してしまったスーパー・プロデューサー=J・ディラのオリジナル・インストゥルメンタル・アルバムが、ジェイ・リブもリリースしていた西の名門“ストーンズ・スロウ”より登場。インストということもあって殆どのトラックが2分未満でトータル31曲!というめくるめくビューティフル・ビートの世界。ウマーやスラム・ヴィレッジを想わせるモノも中にはあったりして、最後まで飽きない仕掛け。しかし、この“ズラし”が出来る人は他にいないのでは…。デトロイドからLAに移ったとは聞いていたが、まさかそれほど体が悪かったとは。合掌。
6. Five Deez / Kommunicator. (Hostess)

ハイオ州シンシナティを拠点とするグループ…というのは1stの頃の話で、現在はメンバーの中核を担うファット・ジョン(『サムライ・チャンプルー』でもお馴染み)がドイツに移住している為、現在はネットでのやり取りが主らしいが、彼らのタイトな関係は2nd同様変わっていない。しかしながらこの3rdではサウンド面での更なる変化が…。ヒントはタイトルにあり。テーマは“5次元のヒップホップ”。このヒト=ファット・ジョンは一体どこまで行くのだろうか…。ラップ面でも聴き逃せない点が多い野心作。
7. Rino Latina II / II (The Second) (Monohon / CCR)

実に5年ぶりとなる2ndアルバム(その間にもKaminari-Kazoku.のアルバムもあった訳だが)。1月公開になった映画『Taki183』の音楽(サントラ)も全曲制作していた彼の旺盛な制作欲は勿論この2ndにもしっかり反映されている。Lamp Eye、KaminariからMonohon Squad、48.9、Cuervo Hermanosその全てを繋げる彼の存在感がしっかりと伝わってくる大作になっているのは言うまでもないだろう。プロデューサーもDJ Yas、Gas Crackerz、タイプライターからBeatminerzまでRinoの世界観に合った人選。とにかく必聴。 
8. Hab I Scream / Flow, Rhyme, Beats & Life
(For-Side)

Soul Screamのリードマン=Habの2ndソロ。前作『The Circle』ではバンド・サウンドの導入を含めオーガニックな手触りに拘っていたが、今作ではそのテイストをSOSCサウンドの自然な融合とでも言うべきアプローチが取られている。タイトル曲が事実上SOSC編成によるものだったり、オリジナル・メンバーのShikiが久しぶりにマイクを握っていたり、というトピックもあり、かと思えば48.9による結婚ソングやDef TechのMicroとのレクイエムもあったり、と今回もかなりスピリチュアルな内容。リリカルでスキルフルな傑作。
9. Ozrosaurus / Rhyme & Blues (Pony Canyon)

DS455と共に立ち上げた“Bay Blues Recordz”よりOzroの3rd(aka オジバムIII)が届いた。DJ PMXがトータル・プロデューサーを買って出た本作は、他にも旧友Knockや現在のライヴDJ=SN-Zがビートを提供していてサウンド・プロダクションも幅広く、またMaccho自体の語り口やトピックも今まで以上にヴァリエーションに富んでいて、しかも一曲一曲がとても丁寧に作られているのがよく分る。Kayzabro、Zeebra、般若、Sorasanzeo、Big Ron、Ghetto Incらとの絡みもそれぞれ意義あるものに。“彼”はまた男を上げた。
10. 般若 / 内部告発 (Avex)

妄走族のリリース・ラッシュは続く。今度は般若の3枚目。『内部告発』というタイトルからも色んな事が想起されるだろうが、つまりコレは彼自身を暴き出す、というコンセプトなのだろう。内容についてあれこれ言う前に、曲名だけでも興味をそそられる(決してスキャンダラス云々じゃなくて)ところは、正に彼が心酔するMr.昭和の“スーパー・スター”の様だ。全曲フィーチュアリングなしで、一人で何役もこなしつつ、様々な角度から告発を続ける彼は更に逞しくなった。ラストにはあの名曲「オレ達の大和」が…。
11. Q / The Bangsta (Columbia)

ラッパ我リヤのQがキャリア初のソロ・アルバムを遂に投下。タイトル通り、ここにはラップでリリックで頭を振らせ、的を的確に撃ち抜くQの本領発揮作である事は疑うべくもないが、それ以上に新機軸とでも言うべき“歌路線”が沁みる…。ゲストはFull Of Harmony、Hi-D、Ariaといった最近絡んだ歌い手達の他、CKBの横山剣まで!(ハミ出す言葉の魔術師/コラボれば両横綱〜という名ライン有)。このカッコ良さは確かに理屈じゃない。相棒山田マン制作曲も有。
12. AK-69 / Redsta -The Rap Attacker- (MS Records)

B-Ninjah & AK-69やシンガー=Kalassy Nikoffとしての活動でも知られる東海エリアK-タウンを代表する“Redsta”ことAK-69の初のフル・アルバム。“ストリート”“リアル・ヒップホップ”に徹底的に拘り、ラフでタフなバッドボーイ・スタイルを地で行く彼は、パッションの詰ったラップで聴く者を魅了してやまない。良い歌い手だけにフロウもいちいちカッコ良いが、リリックにある芯の強さがあってこそ光る。Maccho、Anarchy、LA Bond、Hi-Dらゲストの好演、DJ Ryow、Tomokiyo、S55、Subzeroらのビートもいちいちグッとくる。しかもコレ、Kalassy Nikoffの新作と同時リリースなのだ…。